3.一千年の悪夢_11


 ステイションビルがかろうじて見える路地裏。窓さえないビルと
ビルの隙間、汚く染まったドブネズミが数匹ゴミをあさっている。
ドブネズミのさらに後ろで、何かが動いた。起き上がったその姿は、
子供だった。年としては六つほど。
 起き上がったその姿は、もしもその服がところどころドス黒く染
まっていなければ上等なものであろう。
 子供は自分の服が汚れるのも気にもせず、何かを懸命に口に運ん
でいた。何かをすすり上げ、液体をなめ取る音が路地の合間に響く。
 ゴキリ、と子供の口の中で音がした。子供はそれを口から吐き出
し、手に握っていたものを力任せに裂いた。勢いあまってか、裂い
た片方がビシャリと音を立てて地面に落ちた。
 ――スベテがボクのモノになる……邪魔なモノは、スベテ消えろ
ダレにも、ジャマ、させない……ウラギリモノはクってヤル!
 それは、子供とは思えぬ程に低くくぐもった声を、出した。
 子供は足で地面に落ちた物を踏みつけた。中から黒い液体が飛び
出て、子供の白い頬にかかった。舌先で頬を滴り落ちる液体をなめ
取ると、子供はゆっくりと路地のさらに奥深くへと進んだ……



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