森の中心を流れている小川を飛び越えると、妖精はラグにささやいた。
「なんで、あなたにしか話さないのでしょう?」
 アシューはそう呟いた。ラグは目を大きくして、アシューを見る。
「なんでって、妖精の声が小さいからだよ。賢者さんも、話してみたい? 人見知りしない子だったら、たぶん話してくれると思う」
 ラグがそう言うと、肩に乗っていた妖精はアシューの目の前に飛んできた。鼻にキスをして、微笑んだ。
「はじめまして、賢者様。あたしは、ベリル。賢者様の力を見つけてきたの、あたし。えへへっ」
 アシューは手を差し出して、ベリルを乗るように仕草で示した。ベリルは手のひらに乗ると、自分のピンクの長い髪を手櫛で整える。
「かわいらしいですね。妖精はかわいい子が多いのですか?」
 アシューの質問に、ベリルは頬を染める。ラグが口をへの字にしてアシューを見ていた。
「賢者さん、誰かれ構わずナンパするのやめろよー。力、返すんじゃなかった。賢者さん、大きくなるとかっこいいんだもん」
 ラグがそう言うと、ベリルは真っ赤になって飛びあがり、ラグの胸をポカポカと叩く。
「別にナンパではありませんよ。見たままを言ったまでです」
「それって、素で言ってるんだ」
 ラグは一言で済ませると、怒ったように先を歩き始めた。アシューはそれを見て、クスクスと笑い声を上げていた。
 その声を聞いて、ラグは半身振り返った。
「よかった、賢者さんが笑ってくれて。その代わり俺がちょぴっとへこんだけど」
 ラグはまた歩き始め、アシューも後を追った。
 


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