2.散歩



 月夜の晩、一人の男がひっそりと静まり返っている通りを歩い
ている。
 黒のロングコートを羽織り、手には白い手袋をはめている。何か
紳士的なものを漂わせている。
 その彼は、ふと顔を夜空へと向けた。
だが、その目的は丸い月を見るためではなかったようだ。
鼻で息を思いっきり吸い込む。息を吐き出しつつ、呟いた。
「久しぶりに目が覚めた早々、良い物にありつけそうだ……」
 舌先で唇を濡らす……
 その彼の目の先には、淡いブルーの光を放つワンピースを着た少
女の姿があった。
 ふとした瞬間に、彼の姿を見失った。それと同時に、彼は少女の
目の前に立っていた。
 彼は軽く礼をし、女心をくすぐるような低く甘い声で呟く。
「こんばんは。今夜は月が綺麗ですね。ですが、こんな夜中に一人
歩きは危険ですよ。僕がお送りして上げましょう……良いところま
で」
 少女は黙りこくっている。不意に出てきたナンパ男に呆れている
のか、本当に怖いのか。
少女が黙っているのをいいことに、彼は少女の腰を抱く。
普通ならばここで叫ぶか、暴れて嫌がる物なのだが(そうしなけ
ればなるまい)、少女は相変わらず黙りこくったままだった。
――ま、いっか
 彼は心中で何か不満に思いながらも、無理やり納得させて少女を
更に抱き寄せた。
 と、胸元を押しのけられ、首筋に冷たいものが押し当てられた。
 その感触に、彼の体に悪寒が走る。
 彼の目に、少女のニヤリとした口元が見えた。
「これで貴様は終わりだ」
 少女は彼をにらみつけた。
もう逃れることはできない。
その瞳からは。
 彼はそう思ったのか、覚悟を決めた……


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