2 ゴメンなさい、責任持ちます。15


 フォンシャンが酒場を出た時も、地響きは続いていた。
「確か2時くらいには音が止まるって言ってたけど。見に行った方
がいいのかな。でも、壁の向こう側で起こっていることを調べるの
はキツイし……」
 フォンシャンはそう言いながら空を見上げた。真っ暗な森の上に
は、幾億もの星が瞬いていた。
「星……星になれたら、いくらでも世界を見れるかもね」
 そう言って酒気を帯びたため息をつく。
「でも、遠くから見るだけじゃ、分からないことだらけだ」
 フォンシャンは首の宝石を握りしめ、天空を見つめる。赤や白、
黄や青い光りを放つ星々を見ていると、騒がしい地鳴りの音でさえ
かすれて聞こえる。
 気づくと、本当に地鳴りがやんでいた。
「昨日より、早く止まった?」
 フォンシャンは時計を目で探して時間を調べる。
「12時……眠たい。まだ疲れ残ってるのかね、俺」
 フォンシャンは目頭を押さえて唸った。
 ログハウスに戻ると、シャツだけを脱いでベッドにもぐりこんだ。
このログハウスを回収・移動させたのはフォンシャン自身で、その
際に転移魔法陣を書いたようだ。どうやら友達がいないのは本当の
ようだ。
 
 夜中2時頃。村の中が、とても静かになった。嵐の前の静けさ、
と言うのはこの事だったかも知れない。
 突如として、轟音が響き渡った。先日の地響きとは明らかに違う音。
 シュウはその音に飛び起きた。上着を羽織り、シュウは寝室の外
に出た。従者エクサがシュウの前にかしずき、言う。
「どうやら領境の壁の一部が壊されたようです――が、我がラスタ
軍の仕業ではないようです」
「自分で築いた国境を壊すとは、私の誤算だったか」
 シュウは苦々しい表情を浮かべた。剣を携え、シュウはエクサに
馬を取りに行かせた。その間に仕度を整える。この間の魔獣とは違
う、そんな気がしてシュウは念入りに仕度を整えた。
「シュナイザー様、馬の仕度ができましたが、あの男に何か言わな
くてもいいのですか?」
 エクサに言われ、シュウは馬に乗る動きを一瞬止めた。
「別に、気にしなくてよい。あの男は我が軍の者でも、傭兵でもな
いのだ。彼には他の仕事もある」
 シュウはそう言って馬にまたがった。エクサもその後に従う。



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