Emperor


プロローグ 魔帝

 
 ある大陸のちょうど真ん中。
大陸のヘソとも言える部分に4〜500キロ四方を領土とするフェレンツェ国家があった。
 フェレンツェは、最大標高4000mの山々に守られるようにして存在しており、攻め入るのが苦労されている国であった。そのために今の今まで国としての存在を認められていたのだ。
 しかし、フェレンツェの空を、鳥以上の大きな物体やドラゴンが横切るたびに、国民は偵察されているのでは? と恐れるのだった。

 フェレンツェ王国暦804年。

 周囲の国家からの弾圧から突如としてフェレンツェは抜け出した。
 自ら皇帝と名乗る魔道の持ち主により、国内に魔道師協会を設立した。それだけではなく、百にも及ぶドラゴンを呼び寄せ、竜騎士団を作り上げた。
竜騎士団の発足によってフェレンツェは他国に攻め入り始め、次々と国々を配下にして行った。


 フェレンツェ王国暦807年。

 たった三年の間に大陸全土を支配下に置いた魔帝とも呼ばれたフェレンツェの皇帝。無論、そのやり方は民を無視したものであり、国内外から反感を集った。それにより、魔帝に対抗すべく魔道師たちがひそかに立ち上がった……


 フェレンツェ王国暦810年。

 魔帝と呼ばれた皇帝ルクドリア・ファートウッド。燃えるように赤い髪を短く刈り込み、黒のローブを軍服の上から羽織っている。驚いたことに軍服には何一つ勲章がついていない。魔道師協会や竜騎士団を設立した功績をたたえてもよいはず。だが、たとえ勲章がいくつも並ぼうとも、皇帝ルクドリアの端整かつ精悍な顔の前には見劣りする。
全てを見抜くような眼差し。その切れ長の瞳の虜になる者は多かった。魔性とも言えるその瞳がために。
しかし、傷一つあってはならぬ皇帝ルクドリアの額には、縦に深く刻み込まれた傷が存在していた。それがなぜ、いつついたかは皇帝自らが語ることはなかった。


「ルクドリア皇帝陛下、国内での不穏な動き、どういたしましょうか」
 ルクドリア皇帝の前に、一人の青年がかしずいた。皇帝の側近、シーザだった。肩まである銀髪をかきあげ、赤い瞳で皇帝を仰ぎ見る。
「よい、放置しておけ。この世界には私に勝る力をもつ者などいない」
「ですが……」
 不安げなシーザの声に、皇帝は一喝で返した。
「下がれ」
 皇帝の瞳が細まり、怒りの色が加わる。シーザは深々と礼をすると皇帝の前から下がった。
 皇帝は部屋から人をすべて下がらせると、額を抑えて深々とため息をついた。
「私に勝てるものなどいないのだ……この世には」

 その数ヶ月後、ルクドリア皇帝の元に多数の白いローブを羽織った魔道師や兵士がやってきた。
「申しありません、陛下」
 深々と白いローブをかぶった魔道師の中の一人が言った。自体を素早く悟った皇帝は、睨みつけるようにして言った。
「笑止。そのような数で私に勝るとでも思っているのか」
「確かに、我々だけの力では……」
 白いローブの魔道師集団は手に光るものを握っている。
「陛下を封印させていただきます」
 ルクドリア皇帝の体に、いくつものナイフが突き刺さった。
 皇帝の体は硬直し、体から心は離れた。
「陛下、どうぞ安らかに」
 ルクドリア皇帝――いや、元皇帝ルクドリアは、自らの体が硬い床の上に倒れたのを見た。








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